2年間開発に携わったシステムがリリースされてわかったこと
先日、参加してから2年経ったシステムリプレースプロジェクトのリリースが行われた。システムを切り替えて終わり、というわけはなく1週間サポート担当として、ユーザーの近くで問い合わせを受けていた。これは、そのときに気づいたことをメモしたものになる。技術的な話よりも、UX的な話が主となる。
前提として、今回のプロジェクトは以下の特徴をもつ。
- 企画段階から数えて約4年かかった
- 社内向け業務基幹システムのリプレース
- このシステムが無いと、業務が全く進められない文字通りの基幹システム
まず、レスポンスなどのパフォーマンスはユーザーにとってのストレス要因として一番大きいということ。
パフォーマンスの低下は、その理由を知っていたとしても「はいそうですか」で納得できるものではなく仮に他の要素が前と比べて良くなっていたとしても、そんなの関係なくダメなシステムと烙印を押されてしまう。本当に届けたかった価値を感じてもらう土俵にすら立てない。何を今更話。
次に、いままでの操作感と強く比較しているが故の話をよく聞いた。前のシステムよりも導線や操作ステップは改善しているはずなのに、同じ操作をするのに必要なクリックが多くなったなどの意見を聞き、デザインの敗北あるいはUXを検討し尽くせていなかったのかと思い少しへこんだ。
正直なところ、自分がプロジェクトに入った段階ではデザインやUXの方向性は固まっており、この点を改善できる手立てはなかったと言うことはできる。それでも設計・開発のなかで考え尽くせていなかったことと同義であるし、テストでも気づかなかったことにへこんだ。これがあるべき仕様なんだと叫んでも、ユーザーにとってはそんなことは関係ないし、これで生産性が下がったら意味はない。
最後に、ユーザーはシステムを触っているときは無思考に近いということ。
これはリテラシーがどうとか、ユーザーに対する文句では全くなくて、自分も同じなのにリリースするまでは気づくことも考えることもしなかった、本当に目から鱗が落ちた感覚だった。
よく見ればわかることや、2秒ぐらい試行錯誤したらわかりそうなことを何度か質問受け、それでわかった。ユーザーは1秒以下で判断をしているし、普段使っているスマホアプリの操作性に慣れるとギャップがあるということなのだと思う。
自分の普段の行動を振り返ってみても、あまり考えずにアプリを触っているしそれでも特に問題なく操作できていることを考えると、広く世の中に出ているサービスの完成度の高さに改めて尊敬の念を抱いた。直感的に使えるようにすることの大切さを痛感した。
やはり早い段階でこまめにユーザーに触ってもらうこと、それが大事なのだと思う。それはアジャイルとかそういう手法の話だけではない。半永久的に改善をしていくシステムなのだから、どんどん実際のレベル感で触ってもらう必要がある。一方で、最低限の機能開発とバグ修正を行いながら対応優先順位を付け、進捗させることはなかなかに大変ではあるものの…